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最高裁判所第三小法廷 昭和23年(れ)217号 判決 1948年7月27日

主文

本件上告を棄却する。

理由

被告人渡辺幸一上告趣意は末尾添附書面記載の通りである。

上告趣意第一點について。

しかし原判決の確定した事実によれば、被告人渡辺幸一は鉄道荷扱手原審相被告人吉田要は鉄道荷扱專務車掌として、何れも山陽線糸崎驛岡山驛間等に乘務していたものであるが、共謀の上昭和二十二年五月十六日午後一時頃乘務中の山陽線上り第九六四號貨物列車が笠岡驛に停車中、同貨車に積載輸送中であった津山市北町吉久初代所有の衣類二十數點在中の柳行李一個及び岡山車掌區長東野英文管理保管に係る衣類等約三十點在中の竹行李一個を窃取したものであるというのであるが、車掌が乘務中の貨物列車において、これに積載されている荷物を不正に領得する行爲は窃盗罪を構成するものであることは既に大審院の判例(大正十四年(れ)第四〇五號、同年七月四日言渡大審院判決)とするところであって、今なおこれを變更する必要を認めない。それ故に論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)

仍って刑事訴訟法第四百四十六條に則って主文の通り判決する。

此の判決は裁判官全員の一致した意見によるものである。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上登 裁判官 庄野理一 裁判官 河村又介)

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